1. 虫はなぜ鳴くの

(1)オスが鳴く 
中にはサトクダマキモドのようにメスも鳴くものはいるようですが、まず鳴くのはほとんどがオスだということです。

(2)グループの形成のために鳴く
 セミの場合は体の割には極めて大きな音を出します。これは仲間同志の通信の役割をはたしているといわれています。鳴くことによって仲間を集めグループの形成に役立っているようです。

(3)オスとメスの出会いのため
 こうすることによってオスとメスの出会う機会が増え、また餌場の条件の良い所にグループでいることによってグループとしての安定が得られ、また外敵から身を守れます。ニイニイゼミでは一本の木に集中する性質が強いと言われています。この場合は連れ鳴きになり、ヒグラシやハルゼミの仲間では良く大合唱になります。

(4)他の種との交雑を防ぐ
 種類によって決まった鳴き声を持っていることは、違った種類との交雑を防ぐのに役立っているようです。

(5)なわばりの宣言
 コオロギやキリギリスの仲間では「なわばり」を持つ種類が多く、各々の虫が自分の居るところが自分の「なわばり」であることを他の同じ仲間に知らせるために鳴くのだと言われています。この場合の鳴きを「さえずりの唄」あるいは「ナワバリソング」と言います。しかしコオロギの場合は必ずしも「なわばり」のなかに他のオスを寄せ付けないことはなく、秋の初めでは結構一緒にいることがあると言われています。

(6)メスを口説くため
 朝や夕方にオスが鳴いている「なわばり」の中にメスが入ってくるとオスはメスを口説くためにやさしく鳴きますが、これを口説き鳴きと呼んでいます。

(7)相手を脅(おど)すために鳴く
 ナワバリの中に仲間が入ってきたり、交尾を終えたメスをなわばりから追い出すときなど、相手を脅すときに強く鳴きますが、これを脅し鳴きといいます。

 エンマコオロギの顔

 ツヅレサセコオロギの顔

 ミツカドコオロギの顔

 モリオカメコオロギの顔