2.どのようにして鳴くの?

鳴く虫の多くは発音器を持っていますが、セミ、コオロギ、キリギリスやバッタの仲間で発音の仕組が違っています。また、発音しないものでもコロギスやチャタテムシのように足や体を葉などに打ち付けて音を出すものがいます。


(1)セミ類
発音器は腹部にある発振膜と鳴筋と共鳴室からなります。鳴く時は鳴筋がちぢみ、発振膜が中へ引っぱられ音が出ます。続いて鳴筋が元にもどり、発振膜がまた元にもどり弱い音が出て、これを繰り返すことによって連続的に音が出、共鳴室で拡大されてセミの鳴き声になります。

アブラゼミの縦断面

アブラゼミの横断面

カメムシの仲間やウンカ、水生のカメムシ(ミズムシ)にも鳴くものがいますが、セミに似た発音器を持っているようです。この発振膜や鳴筋の振動は、アブラゼミで1秒間に100回、発音器は腹部の両側にあるので両方で200回起こります。また、セミが鳴く時の周波数は2,000から9,000ヘルツです。

(2)コオロギの仲間

2枚の前羽をこすりあわせて鳴き声を出します。上側の右前羽の裏側(ギザギザのヤスリ状になっている)で下側の左前羽の表側(まさつ器)をこすりあわせることによって音がでます。鳴く時は羽を立てるので、腹部の背面と羽との間に大きな空間ができ、共鳴の効果が大きくなると言われています。鳴きの周波数はカンタンが低くて2,000ヘルツ前後、スズムシで3,200ヘルツ、他のコオロギ類は大体4,000から5,000ヘルツと言われています。なお、コオロギの仲間では後羽の筋肉が未発達のものが多く、従って後羽の長い長翅型は少ないようです。また、ケラの場合はメスも鳴くと言われています。
エンマコオロギのはねのおもて



エンマコオロギのはねのうら


(3)キリギリス類
キリギリスの仲間ではコオロギ類とは逆で、2枚の前羽のあわせ方が左右逆で、左側が上になっています(例外もあるようです)。鳴きの周波数はキリギリスでおよそ9,500ヘルツ、クサキリやクビキリギスなどで10,000ヘルツ以上と言われています。

キリギリスのはねのおもて


キリギリスのはねのうら


(4)バッタ類
ナキイナゴやヒロバネヒナバッタでは、後足の腿節(もも)の内側のヤスリ状の歯(発音小歯)と前羽の外側の翅脈をまさつして音を出します。