環境教育




 若松小の学習林

 本校には、武蔵野の雑木林の面影を残す学習林が校地と道を一本隔てて隣接してあります。この林には、現在も多種多様な動植物が生息しており、今後も学校・地域の歴史を伝える貴重な財産として、整備・保存し続けたいものです。

 なお、この公立学校の学習林としては、広大な面積を誇る当学習林は、この土地を保有する地域の造園業を営む方(冨田園さん)からの御厚意により利用させて頂いているものです。

〜武蔵野の雑木林について〜

雑木林の歴史と保護の意味

 時に、「雑木林なら手入れをしないでそのままにするのが自然保護なんじゃない」という声を聞きます。
 
 その昔、中世の頃、この辺り一帯は樹木がほとんど無くカヤ原(ススキ類)が延々と、続く草原のような光景でした。若松小周辺もそのような光景だったことでしょう。
 ここに、人が入ってきたのは、江戸時代[元禄7年(1694)1月]に川越藩主となった柳沢吉保による三富新田開発以降のことと思われます。その時に、生活に必要な木材を育てるため、ドングリから植えたのが、この地域の武蔵野林の始まりです。つまり、人工林なのです。
 
 そうして、毎年毎年人が林に入り、下草刈り、枝落し、落ち葉掃き等を子どもから大人まで地域総出で行い、その姿が今に続いています。もし、このような手入れをしなかったとすると、照葉樹が優勢になり、年中暗い人が入り込めない下の写真@のような状態になります。

写真@ (2008年7月の若松小学習林)
 江戸時代から300年近く続く落葉樹林を維持するには、人間が入る必要があるのです。






        

松井地区と雑木林のはなし

 昔から、雑木林のことを「ヤマ」と呼び、肥料になる落ち葉を集めたり、薪にする小枝を拾ったりと生きていく上で欠かせないものでした。今では、その役割は終えましたが、それでもその呼び方は地域の農家の人々の間で、親しみを込めてこの「ヤマ」という言い方が残っています。
 若松小ができる前、この辺りから松井小へ通う子は、「ヤマの子」と言われ、放課後や夏休みの雑木林での遊びの案内役だったそうです。ちなみに、東川の近くに住んでいる子は「川の子」、松井小近くに家がある子は、「マチの子」と言われ、それぞれ得意な遊びがあったとのことです。


若松小の子と学習林のつながり

○ 1・2年生は生活科で、観察をしたり、葉っぱやドングリを拾ったり、冬にはびっしり積もった落ち葉の上を歩いたり、跳んだり跳ねたりして、自然を五感で感じます。

○ 3年生は、「みどりの会」・「JAいるまのさん」の御協力により、シイタケ栽培をします。収穫できるのは、3年後の6年生になったときの秋頃です。
 また、総合的な学習では、一年間を通し、じっくりと自然環境の事を主体的に調べます。学習林では、緑の会・愛校会などの地域ボランティアのみなさんが製作してくださったガイド(「この木なんの木?」)を参考にして、動植物の名前や生態、森林の働きについて学びます。

冬の学習林整備

                                 

学校の周りの野鳥


 この写真も、本校の中庭で撮影されたものです。まるで置物のツルのようですが、本物(野生)ですし、ツルではなくアオサギです。12月頃、飛来しました。飛んでた時には、1年生から6年生までみんなで観察しました。
 


カブトムシの"ベット"



  2月の落ち葉掃きの時には、コナラなどの落ち葉を決められた所に集めるようにしています。それが雨や温度、そして葉を分解するミミズやダンゴムシ、微生物の働きにより約半年後には栄養分がたっぷり入った黒土に変化します。そして8月中旬頃には、カブトムシのメスがここに産卵し、カブトムシの"ベット"になります。ここ数年(H21年前後)で、やっと苦労が実り、安定した数の成虫が確認できるようになってきました。
 上の写真のネットは、「子ども達が観察しやすいように」と、若松愛校会の農家の方からの御好意で譲って頂いたものです。7月上旬に10日間ほど張った後は、次の命の継承を考えネットははずされます。
 
 ちなみに、このホームページをご覧の良心的な方には、そんな方はいらっしゃらないと思いますが、残念なことに、学習林へ勝手に入り、幼虫や成虫あるいは、シイタケを持って行ってしまう人がいます。
 地域の方や子ども達、教職員が、協力してこの林を守っています。そして、子ども達は、この林でのカブトムシ採取やシイタケ刈りを楽しみにしていますし、その子ども達にも「自然は、自分一人のものじゃない。」ということを教えています。環境教育を通し、我慢することの意味を伝えたいと思っています。

 ですから、是非まずは、大人が、子どもに言葉で、態度で、行動で、自然へ接する際のマナーを見せてあげて欲しいと思います。


    



若松小HP